怪奇さん

ありとあらゆるホラーの溜まり場。



学校で見えたもの

僕が中学二年生の頃の話です。

 

僕は中学二年生当時、バスケットボール部に入っていました。

 

なかなかハードな部活で大抵どの部活よりも長く練習をしていたのです。

 

その日は部活が終わり帰ろうとした際に、教室にウインドブレーカーを忘れたことに気が付きました。とはいえ夜は七時をまわっており、そもそも人数の少ない学校なのでそんな時間には玄関を除いて消灯されています。おまけに自分の教室は三階でした。

 

ただ中学生という思春期まっただ中でかっこつけたかった僕は「あー忘れ物とりにいくわ」とだけいって早くなる鼓動を抑えながら玄関横にある階段に向かいました。

玄関は電気がついているとはいえ階段を少し上がってしまえばあとは真っ暗です。

 

階段に面した真っ暗な他の学年の教室を除かないように気をつけながら階段を上っていきました。

 

月明かりも入らない階段をどうにか登り切って教室に着きます。安心したかったので、すぐ忘れ物を取ればいいだけなのに怖がりだった僕は急いで教室の電気をつけました。

 

校舎自体もそれなりに古く変な話をよく聞いた学校です。電気をつけても鳥肌はやみませんでした。急いで忘れ物を取った僕は一呼吸をおいて電気を消し、また真っ暗な廊下に出て階段に向かいました。

 

僕は真っ暗な階段を急いで降りました。

 

ところが少し明かりが見えてきたところで僕はなぜか振り向いたのです。

 

今考えてみても何故振り返ったのかが分かりません。

 

ただ僕の目線の先には確かに灰色のジャージを着た男の人が階段に座っていました。

人間というのは不思議なもので僕はそれを見ても「なんだ人か」程度にしか思わなかったのです。そのまま僕は階段を2,3段降りました。

 

「いや、え?」

 

僕は事のおかしさに気付いたのです。七時をまわった校舎には部活の先生しかいません。部活の先生は一階にある職員室にまっすぐ向かっていたのです。それに他の生徒たちはもうみんな帰っていました。というかあんな真っ暗な時間にジャージのままの男が階段に座っていることの説明が付きません。

 

そこで僕はもう一度振り返りました。

 

でもそこには誰もいないのです。

 

確かに見た人間的な何かがそこにはありませんでした。

 

走って玄関を出て仲間たちに追いつきこの話をしても誰も信じてはくれませんでした。

 

数日後、校内ランニングがありましたが今度は図書準備室に人影がありました。

ただやはり二回目はいないのです。

 

誰にも信じてもらえませんが