怪奇さん

ありとあらゆるホラーの溜まり場。



こっくりさん


初めまして。少し長くなりますが、私の体験談(厳密には私の母の体験談?)です。 


 母は、昔から霊の類を一切信じない人でした。そんな母についてのエピソードです。 


わたしが小学生の頃、友達との間で怖い話が流行った時期があり、その流れでみんなで「こっくりさん」をやることになりました。 


その日は私の家でやろうという話になり、みんなでうちに集まってこっくりさんの紙(鳥居とか五十音とか書いてあるあれです)を書き、さあやるぞ!というところで、部屋にジュースを持ってきた母から何をやってるのか聞かれたので、正直に 「こっくりさんだよ!」 と言うと母の顔色がサッと変わりました。


どうしたんだろう?と思ってると突然母が 


「だめよ!こっくりさんだけはだめ!」


 と言って紙を持って行ってしまいました。 


私たちはその突然の母の態度に驚き、結局他のことをして遊びました。 


それから数日経った頃でしょうか、何となくあの日のことが気になって、私は母に 


「なんであの日、こっくりさんやっちゃダメって言ったの?」 


と聞いてみると、母は少し考えてから 「お母さんはね、幽霊とか呪いとかそういうのは全然信じてないんだけどね…」 と切り出し、以下のようなことを教えてくれました。


 昔まだ母が小さかった頃に、親戚の子たちとこっくりさんをやった。 いろいろ質問して、じゃあ帰ってもらおうというところで、なぜかこっくりさんが帰ろうとしてくれない(この辺の詳細は忘れたとのことですが、とにかく帰ってくれなかったそう)。


 母のいとこにあたる人がしびれを切らして10円玉から手を離してしまった。 すると10円玉が動かなくなったので安心していたが、しばらくすると、いとこが訳の分からない言葉を叫びながら暴れ始めた。 


手が付けられないので大人に報告すると、いとこはどこか(母曰くたぶん寺かも?)へ連れて行かれた。 それから数日して、いとこは元気になったと連絡がきたが、それから連絡をとっておらず、今はどうしてるか知らない。 


だから、友達と怖い話をするのは構わないが、こっくりさんだけは絶対にするな。 とのことです。 


多分、この話自体はそんなに怖くは感じられないと思います。 でも私にとっては、どんな話を見聞きしても霊の類をまったく信じていなかった母が、こっくりさんだけを必死に止めようとした。ということが、妙なリアリティがあって怖いのです。


*ミツキさんから頂いたお話です。